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いまさらですが・・・今年の論文について考える(特実Ⅱ) [論文]

 先日に続き、特実Ⅱについての考察です。
 本試験において問題Ⅰは作成に手間取り70分掛かってしまいました。その時点で「もう駄目かぁ~」と、諦めかけたところで問題Ⅱを読みました。読んだ瞬間判例と分かる内容でしたので「まだいけるかも知れない」と希望の光が見えるものでした。。
1.設問(1)について
 国内消尽について問う問題でした。一目でそれと分かる問題であり、非常に素直な問いだったので、素直に答えました。とはいえ、ただ記憶している判例を書くだけでは論文とは言えません。「特許権を行使することができるか。」について「理由とともに」説明する訳で、理由は判例にあたる部分ですが、全体の流れは「特許権侵害とは・・・」「当該行為は形式的には特許権侵害を・・・」「しかし・・・(消尽の理由)」「結論・・・」という流れで進めました。
2.設問(2)について
 インクタンク事件で話題となった、特許製品を加工した場合の消尽に関する問題でした。これも基本的には素直に判例を知っているか問うているものでした。「必要があれば場合分けをして」ということでしたので、ここでは新たな特許製品と認められるか否か、すなわち特許製品の属性、発明の内容、加工及び交換部材の態様の他、取引の実情等を総合考慮した結果、権利行使可能か否かを結論付けるものでした。 全体の流れとしては、形式論、実質論(判例を引用した理由付け)、結論、というものです。
 ここで興味深いのが、N先生とS先生とでその先の踏み込み方が異なることです。N先生は、判例の知識に基づいて、「特許製品の属性」及び「加工及び部材の交換の態様」について具体的に論述することに重点を置いたようです。一方S先生は当該特許製品に係る部品aの属性について、及び加工の態様についてのあてはめを試みられました。これらはいずれも基本を押さえた上での論述なのですが、論文の正解は一つではないことを学ぶうえで非常に有り難い内容となりました。
3.設問(3)について
 この問題も素直な問いかけで殆どの受験生がBBS事件を想起したのは間違いないでしょう。しかしBBS判例の論述はほんの一部であり、全体の流れとしては、形式論、実質論(BBS判例を引用した理由付け)、結論になると思います。結論においては我が国の特許権者と同盟国の法人とが同一人と同視し得るか否かを、問題文の誘導に従い「場合分け」することを要します。
 N先生はここで判例の論述をしっかり書き込まれました。一方S先生はここでもあてはめを試み、その上で同視できる場合について記載されました。
 僕はここで大きなミスを犯しました。第三者と転得者との取引について「製品の上に明確に表示」する旨を記載しませんでした。ミスの原因は単純に問題文の読み飛ばしでした。
4.全体を通して
 N先生とS先生とでは論文の記載内容は似ているのですが、その構成や記載の異なる部分にアプローチの違いが現れているため、比較することでとても参考になります。合格論文をいくつか読み比べることで、深い勉強が可能になる気がしました。
 尚、僕は設問(3)で大きなミスを犯してしまいましたが、特実についてはA評価でした。




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